10x Genomics(TXG)株をわかりやすく分析【10x ゲノミクス】

今回は、NGS(次世代シーケンサー)を使ったシングルセル解析の前工程で有名な10x Genomics(TXG)を投資家目線で分析します。

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NGSに入れる前に同社をかませると、細胞レベルの遺伝子発現状況が把握可能になります。

例えばがん組織は、多種多様な細胞から構成されており、遺伝子の発現状況が異なります。

遺伝子の発現状況とはタンパク質の設計図となるmRNAの発現状況を指します。

これを把握することが創薬や基礎研究にとって非常に重要ということですね。

それでは今回の記事の要点です。

  • 創業者がCEOとして、引き続き会社をけん引。
  • とにかく業績は堅調。
  • 製品はシングルセル解析のChromiumと空間解析のVisium
  • シングルセル解析は、NGSを土台にした解析。
  • NGSでわかるのは平均値のみ。シングルセル解析では、遺伝子発現のばらつきがわかる。
  • 体内の状況をより精緻に把握可能で、創薬用途などに利用される。需要急拡大。
  • では、空間解析のVisiumとは?
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それでは順に見ていきます。

目次

創業経緯について

今のCEOである、Serge Saxonov氏らによって2012年に創業、2019年にIPO。

Serge氏は23&Meの最初の従業員で、その後Quantlifeという会社でプロダクト責任者等を務めていたようです。

後者のQuantlifeはDroplet technologyというテクノロジーを持っており、これは現在の主力製品であるChromiumの技術に非常に似ているように見えます。

なおQuantlifeはBio-Radに買収され、その後Serge氏は同社を創業します。

業績は堅調

同社資料より

業績は非常に堅調です。

また認知度の向上を示すものとして、以下のように論文で使われるケースも大きく増えています。

製品はシングルセル解析のChromiumと、空間解析のVisium

製品はChromiumとVisiumがあります。

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内容については後ほど詳しく書いていきますが、以下製品の外観です。

まずChromiumですが、以下のような製品です。

次にVisiumです。

それでは、詳しく製品について書いていきます。

シングルセル解析とは何か?Chromiumの仕組み

シングルセル解析は、文字通り、一つ一つの細胞の解析の事です。

細胞の何を解析するかというと、遺伝子情報を解析します。

最終的にはNGSで遺伝子の解析を行いますが、Chromiumという同社の機器で前工程を施すことで、シングルセル解析を行うことができます。

上の図の左側が、通常のNGSによる解析。

四角の図のX軸とY軸が遺伝子の発現状況だと考えてください。

ある組織からサンプルを取ってきてそのままNGSにかけた場合、遺伝子の発現状況をプロットすると、左側のように一点になります。

上の図の右側はどうでしょうか?

これがシングルセル解析の結果で、例えば2種類の遺伝子の発現を二次元で取ると、様々なクラスターがプロットできます。

このクラスターは、細胞種が違うことを示しています。

シングルセル解析でわかることは、細胞種の違いによって、遺伝子の発現状況が異なるということになります。

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では、なぜ、遺伝子の発現状況の違いを細胞種ごとに見ないといけないのでしょうか?

ここで、例えば、CAR-T細胞によるがんの治療薬を研究している研究者がいたとします。

  • CAR-T細胞で、がんを攻撃し、奏功してがんが縮小したが、またがんが再発してしまった。
  • なぜか調べたい

このようなケースで、シングルセル解析を行えば、薬を投与して少したってから、CAR-T細胞が標的としていた抗原タンパク質をコードするmRNAが発現しない細胞群が大量に発生してきたといった事実がわかるかもしれません。

つまり、攻撃をすり抜けることができるがんが増えたことがわかり、それらをクラスターとして捉え、また対策を講じることができるかもしれません。

また、全体でみると以下のような目的で使用されます。

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シングルセル解析のワークフロー

手順は以下です。

  1. 調べたいサンプルを持ってくる。
  2. Chromiumで処理(同社)
  3. NGSにかける
  4. ソフトウェアで解析・ビジュアル化(同社)

上記のように2、4にかかる消耗品、機器、ソフトウェアが同社売上になります。

いわゆるカミソリ替え刃モデルですね。

Chromiumの原理

原理は、上の図のように細胞一つ一つをバーコードしたビーズにくっつけます。

ビーズ複合体上で、酵素が反応し、cDNAが合成されます。

その結果、一つ一つがNGSによって解析できる状態になります。

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次に解析結果です。

結果は、上の図のように出力されます。

上の図は、10000のマウスの脳細胞の遺伝子発現をプロットしたもので、様々なタイプのニューロンが存在することが示されました。

このように異なる遺伝子の発現状況をX,Y軸に取ると、さまざまなクラスターが見えてきます。

これらがわかれば、今度は、一つのクラスターで発現している遺伝子を見ていけば、既知の細胞種が特定できるということです。

上の図は、クラスターと細胞種を紐づけて色分けしています。

最後にVisiumについて

最後に簡単にVisiumについて書いていきます。

VisiumもChromiumと同様、mRNAの発現を見ますが、組織の断片の空間的な分布を見ます。

組織をスライスしてスライドグラス上に乗せることから始まります。

そして、バーコードにより位置情報を記録しておいて、NGSで配列情報を見ます。

同じように空間的な遺伝子発現を調べる方法としてin situ ハイブリダイゼーションがありますが、in situは遺伝子の配列まではわかりません。

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VisiumはNGSにかけますので、空間的な位置情報と遺伝子配列がわかるというわけです。

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