最近はペニーストックがもの凄く上昇しています。
これをわかっていて投資をする人は構わないと思います。
つまり、投資金額がすべて無くなる覚悟で、ハイリターンを狙うケース。
ただし、やばい会社もどのような財務リスクがあるか簡単に調べておくことは非常に有益だと思います。
財務分析(損益計算書、キャッシュフロー計算書、バランスシート)での注目点をまとめてみました。
一つの項目だけ見れば良いというものではないですが、最終的に倒産に至る可能性は、以下の要因が複数絡むことで上がっていきます。
損益計算書でハイリスク会社に気付く
売上が無い
リスク度
売上が無い場合、営業費用がそのまま損失になりますので、現金の流出速度は最も高くなります。
ただし、現金の流出を十分賄うだけの手元現金があれば、ひとまず大丈夫です。
売上が無い企業なんて無いと思われるかもしれませんが、売上が無い会社も多く上場しています。
バイオテクノロジーなど、売上が立つまで時間がかかる業界であれば、多くが売上を持っていません。
また、売上があったとしても、研究一時金など継続的な売上とは言えないものもありますので、10Qなど法定開示書類で売上の質についてみるべきでしょう。
売上に大きなサイクルがある
リスク度
売上がシクリカルな産業は倒産企業が多く見られます。
例えば航空業界など。
倒産する理由としては、過大な設備投資が挙げられます。
好景気になると、この先不景気になるリスクを忘れて大幅な設備投資を行います。
その結果債務が膨れ上がります。
その後景気が悪化すると極端に収益性が悪化するため倒産するというわけです。
航空会社は同じことを繰り返していますが、これは人間の心理上仕方ないのかもしれません。
景気がいいときにライバル会社がガンガン設備投資している中で、リスクがあるから投資を控えようなどとは言えないでしょうから。
粗利益段階で赤字
リスク度
粗利益(Gross profit)とは、売上(revenue or sales)から売上原価(cost of goods)を引いたものです。
粗利益段階で赤字なのはかなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。
粗利益の計算で使用する売上原価は変動費的な支出であり、本社の賃料など固定費は入りません。
売上原価は、製造設備の減価償却費や材料費、それに係る人件費などになります。
材料費よりも安い値段でしか販売できないということは、商品自体に難がある可能性もあります。
ブランド品などを考えてもらうとわかりやすいのですが、エルメスなどの粗利益率は70%とか普通にあります。
これは製品自体の競争力を表しているとも言えるかもしれません。
また粗利益率が高ければ、固定費のレバレッジから一気に収益性が改善することに期待できるのです。
いずれにせよ粗利益段階で赤字というのはネガティブな印象です。
営業利益段階で赤字
リスク度
営業利益(operating income)は粗利益からSG&A(selling, general and administrative expenses)を引いたものです。
SG&Aはいわゆる固定費的な側面が強い支出です。
広告などのマーケティング費用、研究開発費、本社賃貸料、財務・人事など間接部門の人件費などがここに該当します。
営業利益段階で赤字というのは、よく見られます。
というよりほとんどのテクノロジー企業が営業利益段階で赤字になっています。
上述したように粗利益で大幅な黒字であれば、営業利益段階で赤字でも大きく問題視されないことが多いです。
というのも規模がついてくれば、営業レバレッジ効果により大きな収益性改善が期待されるためです。
テクノロジー企業は営業利益段階の赤字は無視して規模拡大を優先しています。
規模の経済性という概念は製造業だけではなく、GAFAなど大手IT企業を見れば明らかですので、一刻も早く大きくなることを優先する傾向にあります。
キャッシュフロー計算書でハイリスク会社に気付く
営業キャッシュフローが赤字
リスク度
営業キャッシュフローは、本業の営業活動の結果、現金がどれくらい入ってきたかという項目です。
営業キャッシュフローが赤字ということは、本業の結果、キャッシュが流出したということです。
この現金流出分は、何かで埋め合わせしないといけません。
手元に現金があれば、それを当てます。
現金が無ければ資産を売却するか(投資キャッシュフローでプラスを作る)、
お金を借りる(財務キャッシュフローでプラスを作る)ことが必要になります。
営業利益がプラスなのに、営業キャッシュフロー赤字
リスク度
営業利益がプラスなのに営業キャッシュフローが赤字というケースがあります。
いろいろな要因がありますが、いわゆる黒字倒産という現象は、これによって起こります。
保守的な考え方としては、損益計算書の黒字よりもキャッシュフロー計算書の黒字を重視した方がよいでしょう。
損益計算書とキャッシュフローのミスマッチは例えば売掛金の増大によって起こります。
通常企業は顧客から売上を計上した場合、現金を即受け取るわけではなく、一定期間の後に受け取ります。
これを売掛金と呼びます。
コストのツケ払いである買掛金と売掛金がマッチしていればいいのですが、どちらかのバランスが崩れることで問題が生じてきます。
たとえば、売掛金の期間がどんどん伸びていくなどです。
業態にもよりますが、売上あたりの売掛金の規模が変化していないかどうかはチェックする必要があると思います。
異常な数値であれば、粉飾の可能性もあります。
営業キャッシュフローが減価償却費以下
リスク度
減価償却費は、ざっくり事業継続設備投資の額になると考えられます。
※設備投資(CAPEX)は事業継続のためのものと、成長のためのものに分かれます。
営業キャッシュフローから設備投資のためのキャッシュを賄うのが健全な姿です。
そのため、事業継続のための設備投資すら賄えないというのは厳しい状況と言えるでしょう。
バランスシートからハイリスク会社に気付く
負債が多い
リスク度
負債を返せなくなることで倒産が起こります。
ただし、負債の絶対額というよりも、企業のキャッシュフローと負債の比率などで健全性が図られることが普通です。
実務的には、負債から現金等を引いた純負債とほぼ営業キャッシュフローと等しくなるEBITDAの比率を見ます。
これをNet debt to EBITDA比率と呼び(財務レバレッジ)、この比率が4-5以上になってくると高いなというのが今の感覚です。
財務レバレッジが4ということは、営業キャッシュフローまるまる4年分の債務があるということです。
また負債にはコベナンツ条項と呼ばれるものがついていることがあり、これらは財務レバレッジなどの上限を超えた場合、銀行などが一括返済などを求めることができるというものです。
また10Qや10Kなど法定開示書類を見れば、債券等の満期がいつかということを調べることができます。
ただし、非常に複雑なので、ぎりぎりの資金繰りが必要な会社への投資は避けるというのも一つの手だと思います。
現金をほとんど持っていない
リスク度
赤字企業ですと、現金を沢山持っていることが普通です。
そうでなければ倒産しますので。
営業キャッシュフローの年間赤字額と手元の現金額を比べると後何年増資無しで持つかなどを考えることができます。
最後に
負債無し、現金がたくさんあるが赤字で毎年お金が流出しているといった企業であれば、後は本業の赤字がどうなるかということを考えれば済みます。
ただし、負債を多く抱えている企業の分析のハードルは非常に高いと感じています。
そのようなケースでは数字だけではなく、負債のスケジュールや相手先などの情報を把握するために10Qや10Kを読み込む必要がありますが、非常に困難です。
負債が多く、10Qなどの記載があまりに複雑であれば、手を出さないというのも一つの手だと思います。
財務面でのリスクをざっくりと把握したい場合は、10KのRisk factorの項目に定性的に記載されているので、ここをまず読んでもいいでしょう。
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