Noteにがんの早期診断市場の見通し、関連企業について記事を書きましたが、そこで言及していたIllumina(ILMN)について少し深堀したいと思います。
Illuminaってどんな会社?
IlluminaはDNAシーケンサーという機器を手掛けている会社です。
DNAシーケンサーとは、DNAの配列を読み取る機器です。
DNAの配列を読み取ることで、病気の診断、創薬などに活用することができます。
同社はこの分野で、現在普及率、価格、精度という観点でトップ企業です。
がん早期診断と同社の関係
Illuminaは2020年9月にGrailという会社の買収を発表しました。
Grailは血液からがん遺伝子を検出し、様々ながんの早期診断を狙う会社。
遺伝子の配列情報をもとに診断するという一連の流れの中で、重要である、①どのように血液から遊離DNAを検出するか?、②DNAのどの部分に着目するか?③それをどのように様々ながんに適応するか?、といった問題を解決するための試薬とアルゴリズム、ソフトウェアを担う会社です。
その上で、IlluminaのDNAシーケンサーが配列解析を担います。
買収自体は垂直統合の形態ですが、もともとGrailはIlluminaの社内プロジェクトで、スピンアウトしたものをもう一度買いなおしています。
IlluminaはGrailの技術をマネタイズするスピードを加速させることができそうです。
というのも同社は新生児診断の分野で同じようにアプリケーション的な会社を買収しており、その後にFDAや欧州CE markなど規制関連の対応をこなした実績があるからです。
また、垂直統合によるコストシナジーも出そうです。
Grailが成功したときのインパクトは?
Illuminaの2019年時点での売り上げ規模は3.5B、4000億円弱です。
がん早期診断市場がうまく立ち上がれば、4兆円弱のアドレサブル市場となる見込みで、そこでシェアを取れればかなりの売り上げアップサイドがあります。
臨床データは?

約15000人を対象にしたデータ。
もっとも重要とみられる特異度において、99%以上を達成。
93%はどの臓器かまで追跡可能。
感度は44%とやや低く見えますが、その分偽陽性をかなり低く抑えることで、実用度は確保しています。
来年2021年にLDT(保険適応無し)を導入し、今後大規模治験を経て対外診断医薬品(IVD)の認可をFDAから取得するとみられています。
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