米株はバブルか? 過去のEPSとPER、見通しから考察

2020年度の米株(S&P500)のリターンは+16%(ドル建て)と堅調なものでした。

コロナによる実体経済への打撃は大きく、ワクチン接種が始まったものの、回復には至っていません。

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足元の指数値はバブルなのでしょうか?

ファンダメンタルであるEPS、バリュエーション指標であるPERから考えてみます。

目次

S&P500のEPS

S&P500の通期EPS(2020年度はコンセンサス推定値含む)の推移は以下の通りです。

2019年度のS&P500の通期EPSは152でした。

そして、2020年度のEPSはまだ決算発表の途中ですが、122と予想されています。

これは約20%の減益ということになります。

一方、以下の通り、S&P500は減益をものともせず最高値圏にあります(データは2020/12末まで)。

バリュエーション(PER)は?

S&P500の足元(2020/12末)までのヒストリカルPER値の推移は以下のようになっています。

計算方法ですが、過去12か月のEPSと四半期末指数値を使っています。

ヒストリカルのPERから判断すると、足元のS&P500のPERはITバブルの時期と同じ水準にあります。

ちなみにITバブルピークのPERは30倍程度で、平均は16倍程度です。

米株はバブルか?

バリュエーション水準は確かに過去のバブルと同様の水準にあります。

しかし、個人的には、割高ではあるものの、バブルではないと考えています。

過去のEPSを使って算出したPERを見る際、以下の点に注意する点があります。

  • 株価が上がっていることがPERを押し上げているのか
  • それともEPSが下がっていることがPERを押し上げているのか

足元のケースでは、株価が上昇していることもPERの押し上げ要因となっていますが、

EPSもコロナの影響により下落しており、それが、PERを押し上げています。

今年である2021年度のS&P500のEPS予想は170となっています。

つまり、これが達成されれば、上の図のPERは22倍程度に下がることになります(2020/12末SP 3756/EPS170)

上のようにITバブルピークのPERは30倍程度でしたので、それよりは割安な水準と言えるかもしれません。

目先のリスクは?

2021年度に現在の利益目標が達成されれれば、PERは切り下がり、バブル期の水準よりも下になることがわかりました。

2021年見通しの170というEPSは2019年度実績と比べると13%程度の増益であり、十分達成可能にも見えます。

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リスクは何でしょうか?

最大のリスクは見通されているEPSが大幅に未達になることでしょう。

もう一度図を張りますが、2000年頃のITバブル崩壊のきっかけは、EPSが下落に転じたからと考えられます。

図のように2000年から2001年にかけてEPSは減益となっています。

利益に対する期待値が高まっている段階では、割高という議論が本格的な下落につながることはありません。

しかし、割高であればあるほど、景気見通しの悪化が顕在化してからの谷が深くなります。

足元はバブルとは言えないかもしれないですが、ここからさらに一段高となった場合、落ちるときの谷の深さには気を付けたいと思います。

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