前回ILMNについて、少し深堀しました(超巨大化が見込まれるがん早期診断市場での先端企業について深堀)。
せっかくなので、そこで少し触れたEXAS(Exact sciences)についても深堀したいと思います。
どんな会社か?
一言でいうと、遺伝子系の検査会社です。
検査技術と、フィジカルなラボを抱えています。
最近注目度が上がっていますが、上場は2001年と、この分野では歴史がある会社です。
レガシーなビジネスとして、大腸がんのリキッドバイオプシー診断であるCologuardが承認されています。
このビジネスモデルはキモは検査ノウハウ。
大腸がんの診断のために便を使っているのですが、便からDNAを抽出するケミカルのノウハウ、DNAのどの部分を見るかというマーカーのノウハウ、それらプロセスをひとまとめにしてCologuardという検査が認可されています。
近年、このビジネスに加え、二つの大きな買収を行い多角化しました。
一つは、19年度に買収したGenomic health、二つ目が現在注目されている要因ともなったとみられる21年度に買収完了予定のThriveになります。

ここからは、レガシービジネス、Genomic healthのビジネス、Thriveのビジネスについて簡単に分析していきます。
レガシービジネス
買収を進める前に主力であったビジネスは大腸がん検査のCologuardです。
この検査は、便潜血検査などが競合になります。
早い段階で便に紛れ込んでくる腫瘍由来のDNAを検出します。
技術の土台は、米国の有名な病院であるMayo clinicとのコラボ。
ここでのコラボで、便からDNAを効率的に抽出する技術と、DNAメチル化をがん診断のマーカーに使うというアイディア・技術基盤を得ました。
現在、この検査はほぼ米国でしか普及していません。
まだまだ新しい技術なので、普及はこれからという見方もできます。
一方で、検査の精度と特異度がそれぞれ90%程度とやや低いのも影響していると思われます。
特異度は偽陽性の出にくさを示す数値です。
後述するThriveに関しては、完全にマス層を狙っていることや、単一のがんではなく、幅広い種類のがんをターゲットにしており、100%に近い特異度が求められます。
一方大腸がん単体であれば、フォローアップもしやすいため、90%程度の特異度でも普及するようです。
この事業自体は安定成長が見込まれるビジネスと言えそうです。
Genomic healthのビジネス
2019年に買収した、Genomic healthは、乳がん遺伝子を調べることで、化学療法(抗がん剤)が効くか効かないかという情報を提供する検査会社でした。
具体的には、乳がんを手術で切除したあと、抗がん剤が再発を防止するかしないかという情報を遺伝子情報から提供できるというものです。
抗がん剤が効きやすいかではなく、効くか、効かないかという断定口調であることがポイント。
同社の検査であるOncotype DXはFDAに認可されており、高価で体に害を及ぼす抗がん剤の使用量を削減することがメリットです。
Thriveのビジネス
株価という意味でカタリストになったThrive部分です。
EXASは2021年に買収完了予定のThriveにより、複数がんのスクリーニング市場に進出することになります。
血液を採取し、そこに含まれているがんのDNAを調べます。
前述したレガシービジネスと異なり、一度で多数のがんの診断を行うことを狙っています。
実施されたDetect-Aという試験でデータを見ることができます。
そこでは、特異度99%という素晴らしい結果が出ています。
ただし、この結果は確定検査が必要ということに注意が必要です。
一回目の検査で陽性と判断された患者に対し、二回目の検査を必要とします。
ちなみに、一回目だけだと特異度は95%程度。
競合のIllumina傘下のGrailは一回の検査で特異度99%をクリアしています。
これがどのように影響するかは議論がわかれるでしょう。
このビジネスを取れれば、超巨大化が見込まれるがん早期診断市場での先端企業について深堀で減給したように、巨大な売上が見込めそうです。
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