米国バイオ:次の10年は、核酸医薬が面白いと思うので、わかりやすく。関連銘柄についても。

バイオテクノロジー業界はAmgen(AMGN), Biogen(BIIB), Celegene(CELG), Gilead(GILD)などの大手が隆盛を極めたあと、セクターの盛り上がりという意味では、近年はやや停滞していたと思います。

上記の4社は、バイオのBig four(四天王)などと2015年あたりまで言われていました。

これら企業の躍進を支えていたのは、抗体医薬といった新しいモダリティや、タンパク質の精密な解析方法確立でした。

現在はBig fourも陰りが見えています。

ただし、テクノロジーは進歩していて、次の四天王銘柄が誕生してくると思います。

目次

注目すべきモダリティは?

新しいモダリティとしては、遺伝子治療、ゲノム編集、CAR-Tなどの細胞療法、そして、核酸医薬などがあります。

抗体医薬というモダリティによりバイオテクノロジー業界は過去10年大きく進化してきました。

抗体医薬品だけではなく、抗体の結合情報から新しい低分子薬も生まれました。

一方で、創薬ターゲットが枯渇するなかで、抗体医薬ではアクセスできない、またはしづらい領域での創薬に注目があつまるのは自然な流れでしょう。

次世代を担うであろうモダリティの中で、私は現在核酸医薬に注目しています。

なぜ今更核酸医薬か?

※核酸医薬にはタンパク質をターゲットにするもの、RNAをターゲットにするものがあります。個人的に注目しているのは、より上流にアクセスでき、効果が高いとみられるRNAをターゲットにするものに絞って話を進めます。

核酸医薬が注目され始めて、もうすでに20年近くたっています

核酸医薬とは文字通り、核酸(DNAのような物質)を使った医薬品。

抗体医薬と同じようにターゲットに特異的に作用し、抗体と異なり、化学合成できるので、安価。

今更投資という観点でこのカテゴリーに注目するのは遅いでしょうか?

過去を振り返ると、最初のモノクローナル抗体が上市されたのが2000年代前半

そこから10年後の2010年あたりから本格的に薬が出始めて、市場も盛り上がりを見せていたと思います。

本格的に薬が出始めてから市場は注目する傾向があると考えることができると思います。

核酸医薬に関しては、RNA干渉薬とアンチセンス薬が代表的です。

このうち、個人的に注目しているのは、より効果が高いとみられるRNA干渉薬です。

RNA干渉薬自体は、2005年あたりから開発が進んでいましたが、実際に世界で初めて薬が認可され、誕生したのは2018年のOnpattroという薬です。

なぜ開発にそれだけ時間がかかったのかというと、体内動態に問題があり、そのままでは使い物にならなかったため。

ドラッグデリバリー技術の確立に時間がかかっていました。

ドラッグデリバリー技術が確立した今、今後10年は、実際に多くの薬が誕生するフェーズに移ったと考えられます。

抗体医薬も同じように最初の薬の誕生から、ブームになるまで10年程度時間差があったことを考えると、核酸医薬も今更?ではなく、これから大きな相場を築くと考えています。

核酸医薬よりも遺伝子治療やゲノム編集の方がいいのでは?

ゲノム編集については次世代医薬品:ゲノム編集をわかりやすく解説。Crisper-cas9とは?関連銘柄は?でコメントした通り、非常に有望なモダリティであるのは間違いありません。

遺伝子からRNAができ、それがタンパク質になるという流れで、核酸医薬はRNAに作用することで効果を発揮します。

これまでのタンパク質をターゲットにした医薬品と比べると、水道の蛇口をひねるようなものなので、より高い次元の薬となります。

そのため、核酸医薬は抗体医薬の上位互換的な位置にいるともいえるでしょう。

しかし核酸医薬よりも、上流の遺伝子を正常化を目指すゲノム編集や遺伝子治療はさらなる上位互換的な位置にあるともいえるでしょう。

一方で、上述した実際に技術が確立してから、市場が盛り上がるまではかなりの時間差があると考えています。

現時点で、上市に近いゲノム編集の薬はなく、遺伝子治療に関しても非常に限定的なポジションにとどまっています。

理由としては、基礎技術のCrisper-Cas9などが確立されたのはこの4-5年ですし、安全性の問題、製造の問題(ものすごく高価)、ドラッグデリバリーの問題などがあります。

一方で、核酸医薬に関しては安全性に対する実臨床データもそろってきましたし、ドラッグデリバリーも確立されてきた。

また何といっても化学合成できますので安価であることがメリットです。

よって個人的には、今後10年を見たときに、ゲノム編集や遺伝子治療ではなく、核酸医薬、特にRNA干渉薬に注目しています。

核酸医薬の有望銘柄は?

核酸医薬のカテゴリーではアンチセンスのIonis(旧Isis, IONS US)とRNA干渉のAlnylam(ALNY US)が2トップです。

個人的にはより効果が高いモダリティであるRNA干渉に注目しています。

RNA干渉の分野での関連銘柄はこのAlnylam(ALNY)、Arrowhead(ARWR)、Dicerna(DRNA)という3社があります。

その中では、もともと市場を立ち上げた存在であり、現在唯一上市に成功していること。また、基礎特許、ドラッグデリバリー技術を抑え、上市によるキャッシュフローが周り始めていることから、Alnylamに注目しています。

参考:RNA干渉薬大手のAlnylam(ALNY)についてわかりやすく分析:siRNAの基礎から競合まで

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